
スポーツトレーナーとしての仕事の中に、メンタルトレーニングというものがあります。選手がベストパフォーマンスで試合に臨むためには身体のコンディションを整えるとともにメンタルコンディションも整える必要があります。それは、車の両輪ともいえるものです。
スポーツ選手のメンタル面での最も大きな障害は、周囲の応援であり活躍することへの期待です。それに応えなくてはならない心理的な脅迫観念が選手を精神的に追い詰めることになります。そういう極度の緊張で試合に臨むと、持っている能力の何分の一しか出し切れないこともあります。その後悔が精神的なトラウマとしてイップスになったり、失敗を恐れるあまり無難に乗り切ろうとして消極的になったりするのです。
もちろんそれらには個人差があり、元より全く意に介しない性格の選手もいますし、そういうメンタル的なプレッシャーにより潰れていく選手もたくさんいるのです。
スポーツトレーナーはそういう選手のメンタル面のケアも受け持ちますので、そういう体験や心理学的な勉強をしていなくてはなりません。それらのためにスポーツメンタルトレーナーの講座などもたくさんあります。
メンタル面はどんな競技であっても似通っています。日本古来の武道は、何万回もの練習や鍛錬によって必要なときに無意識に体が動くことを理想としています。禅につながる精神とも言えますが、そのために瞑想を取り入れたメンタルケアを行うトレーナーもいます。
何も教訓を言ったり、意見を言ったりはしません。あくまでもカウンセリングの一環としていろいろな質問をしながら、選手の精神的な状況を科学的に判断し、求められたときに適切な助言をするのがスポーツメンタリストです。