過敏性腸症候群

過敏性腸症候群にはどんな漢方薬がおすすめ?

器官や機能に異常がない過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、突然お腹が痛くなってひどい下痢を起こしたり、逆に極度の便秘が続くなど、不快な症状が起こる病気です。腸など消化器官に物理的なトラブルがあったり、機能面で異常がみられるわけではなく、ハッキリとした原因は究明されていません。後進国よりも先進国に多く見られる病気で、起こりやすい年代も20代から40代にかけてということから、ストレスが原因になったり、自立神経やホルモンがバランスを崩すことによって発症するのではないかと考えられています。

過敏性腸症候群は、ハッキリとした原因が分からないため、完治できる治療法も確立されているわけではありません。一般的には、薬物を使った下痢や便秘に対する対症療法となります。しかし、体内環境を改善することによって起こりづらくすることは可能で、その点から漢方薬を使った治療法が注目されています。

まずは過敏性腸症候群かどうかを見極めましょう

過敏性腸症候群は、どんな症状が出ているのかを観察することで、自分で診断できます。過敏性腸症候群の大きな特徴は、突然お腹が痛くなり、我慢できない便意を催すという点です。トイレにダッシュしても間に合わないこともあるため、人によっては漏らしてしまうという経験をするかもしれません。

過敏性腸症候群は、お腹が痛くなってトイレに行くと、その度に便が下痢だったり、ほとんど出ない便秘という特徴があります。そして、排便できるとお腹の痛みがスッと取れて楽になるという点もまた、過敏性腸症候群かどうかを見極める際には大切なポイントです。

もしも排便とは関係なく、ずっとお腹が張っているとか、ゴロゴロ音を出しているとか、ズキズキと痛みがあったり、逆に鈍い痛みがある場合には、過敏性腸症候群ではない可能性があります。過敏性腸症候群は、排便すればスッキリできるという特徴があります。もしも排便してもスッキリせずに残便感がある場合には、別の病気かもしれません。速やかに病院を受診することをおすすめします。

漢方薬で過敏性腸症候群は治療できるのか?

過敏性腸症候群を病院で治療する場合には、西洋医学に基づいた薬物治療を行います。入院する必要はなく、大半の場合には通院治療でお薬を出してもらうことになります。

ストレスや自律神経の乱れが原因で起こると言われている過敏性腸症候群は、体内環境や体質を改善することで、解消する事も可能です。体質を改善する方法として人気なのは、漢方薬を使った治療法です。

漢方薬は東洋医学の一つで、中国では民間医療として認められています。日本においても漢方薬を使った治療を受けることは可能ですが、健康保険は適用されないことがあり、その場合には治療費用は割高となってしまうでしょう。また漢方薬は、薬物を使った不快な症状を抑え込むわけではなく、免疫力を向上させて体質改善を目指す治療を行います。そのため、治療効果を得られるまでには数か月という期間がかかりますし、何日あれば完治できるといった物差しなどもありません。漢方薬がどんな風に効果を発揮するかは個人差があるのです。

過敏性腸症候群にはどんな漢方薬がおすすめ?

過敏性腸症候群という病気の治療に使う漢方薬には、その人の体質や状態によって、様々な種類があります。

建中湯(けんちゅうとう)

治療薬として多く使われているのは建中湯(けんちゅうとう)で、これはお腹の状態を整える作用があります。建中湯は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)をベースにして調合されたもので、下痢が起こっている場合と、便秘が起こっている場合の両方に適用できるのが特徴です。過敏性腸症候群の治療以外には、渋り腹とか頑固な便秘などに処方されています。

大建中湯(だいけんちゅうとう)

大建中湯(だいけんちゅうとう)も、よく使われる漢方薬です。これは、人参・乾姜・膠飴・山椒という4種類の生薬を使って調合されているもので、腸の働きが悪い時に治療薬として使われます。

漢方薬は、その人の体内環境にあったものを使うことで、大きな効能が期待できます。体に合わないものを使っても効果を得ることはできません。そのため、漢方薬を処方してもらう時には、時間をかけたヒアリングをした上で、適切な薬を調合してもらうことになります。

例えば、過敏性腸症候群を患っている以外にも、普段から手足が冷えやすい人には、桂枝加芍薬湯がおすすめです。ただし、桂枝加芍薬湯を単品で服用するのではなく、大建中湯と合わせて服用することで、効能が期待できます。

お腹が痛くなってトイレに駆け込み、その際の下痢が飛び散るようなものだったり、排便の後に肛門がひりひりするような炎症性のものに対しては、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)と甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)を合わせて作る甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)が良いでしょう。

漢方薬に副作用はあるのか?

漢方薬は、多くの場合には生薬が使われていて、科学的な薬剤ではありません。しかし、だからと言って副作用が全くないかと言えば、決してそういうわけではありません。生薬から作られた漢方薬でも、間違った飲み方をしたり、体質に合わないものを飲むと、副作用が起こるリスクがあります。

漢方薬を飲んで副作用が起こりやすいケースは、大きく2パターンに分類できます。1つ目は、効能などをしっかり理解せずに、自己判断で飲むというパターンです。特に、自分で複数種類の漢方薬を同時に飲んだり、その日の気分で飲み分けたりすると、副作用を起こしやすくなります。

2つ目は、過剰摂取です。これは、漢方薬だけに限らず、どんなものにも該当します。用量を守らずに過剰摂取すれば、副作用が出やすくなってしまうので注意しましょう。

漢方薬では、生薬によってどんな副作用が出やすいかという点が異なります。例えば、過敏性腸症候群の治療に処方される漢方の多くには、甘草という生薬が含まれています。甘草による副作用はいくつかあり、体がむくんだり、手足がしびれたり強張ったり、またツッパリ感や筋肉痛などが起こりやすくなります。また、偽アルドステロン症や偽カリウム血症、そしてミオパシーと言った疾患を発症しやすくなるので、注意しましょう。

漢方薬は、薬剤師に調合してもらう場合には、用量や飲み方についてもしっかり説明してもらうことができます。しかし、ネットショップやドラッグストアで漢方薬を購入した場合には、説明が十分ではないことがあります。注意したほうが良いでしょう。

例えば、漢方薬の用量は、平均的な身長や体重によって決めています。そのため、平均よりもうんと身長が低い人や、体重が軽い人は、場合によっては副作用が出やすくなってしまうかもしれません。

また、糖尿病や肝臓疾患を患っていて、すでに薬を飲んでいる人もまた、漢方薬を合わせて飲む際には注意が必要です。自己判断せずに、できれば医師に相談した上で決めましょう。

漢方薬はどこで売っているのか?

漢方薬を購入する場所は、いくつかあります。

病院で処方してもらう

1つ目は、病院で処方してもらうという方法です。全ての病院で漢方を取り扱っているわけではないため、場合によっては漢方薬を出してくださいとリクエストしても、無理だと断られる場合があります。注意しましょう。漢方薬を出してくれるのは、漢方薬について専門的な知識を持つクリニックや、漢方を積極的に取り扱っている病院やクリニックなどの医療機関です。

もしも、過敏性腸症候群で受診した病院で漢方薬を取り扱っていない場合には、近くの漢方薬取り扱いのクリニックか薬局を紹介してもらうこともできます。安心してください。

漢方専門クリニックで処方してもらう

2つ目は、漢方専門クリニックで処方してもらうという方法です。クリニックの中には、漢方治療を専門に取り扱っている所があります。全国的にみると数は少ないため、自宅や職場のすぐ近くにあるかどうかは、運次第と言えるでしょう。しかし漢方専門クリニックを受診すると、漢方について高い専門知識を持つ医師が、生活習慣などをヒアリングする問診を行った上で、舌の色や表情などを観察する望診、お腹を触ったり脈を測る切診、口臭や発声を観察する聞診を行い、その人にピッタリの漢方薬を出してくれます。

漢方薬局で購入する

3つ目は、漢方薬局で購入するという方法です。漢方は民間療法なので、医師の処方箋がなくても購入することは可能です。漢方薬局では、漢方について高い専門知識を持つ薬剤師が常駐していて、漢方専門クリニックと同じような問診を行いながら、適切な漢方薬を選んで調合してくれます。良質な生薬を取りあつかっていることが多いのが漢方薬局の特徴ですが、品質と比例してお値段は高くなる傾向にあります。

ドラッグストアで購入する

4つ目は、ドラッグストアで購入するという方法です。サプリメントや医薬品と並んで市販されている漢方薬なら、ドラッグストアで気軽に購入できます。ただし、購入の際には問診などは一切ありません。そのため、事前にネットなどをリサーチして自分に合った漢方薬の目星をつけた上で、ドラッグストアに足を運ぶのが良いでしょう。体質にあった漢方薬を見つけることができれば、比較的リーズナブルに過敏性腸症候群の治療ができます。

漢方薬に健康保険は適用される?されない?

過敏性腸症候群で病院を受診し、医師が漢方薬が治療に適していると判断した場合には、漢方薬の購入には健康保険が適用されます。現在、健康保険が適用できる漢方薬は多く、エキス製剤が147種類、軟膏タイプのものが1種類、そして生薬は242品目あります。この中から、症状や体質に合わせてピッタリのものを選ぶことになります。

健康保険が適用される漢方薬の種類は多いため、過敏性腸症候群の治療にも健康保険が適用されることは可能です。しかし、ピッタリの漢方薬が健康保険適用外の場合には、全額が自己負担となりますが、自由診療として処方してもらうこともできます。

漢方薬局で漢方薬を購入する場合、一般的には購入価格が高くなりやすい傾向にあります。その理由は、保険適用外で高品質の生薬を数多く取り扱っているからだと考えられます。利用する人の体調や体質に合わせてピンポイントな調合ができる反面、保険が効かないとかかる薬代は高額となってしまいます。

それでは、ドラッグストアで販売されている漢方薬は、どうなのでしょうか?ドラッグストアで購入できる漢方薬には、医師の処方などは一切必要ありません。つまり、医薬品で言うなら「医薬部外品」という位置づけになります。つまり、医学的な知識を持たない人が自己判断で服用しても、それほど危険を伴わないレベルの効能に調整されているのです。気軽に購入できる、リーズナブルに購入しやすいというメリットはあるものの、効能という点については、漢方専門の医療機関で処方してもらったりオーダーメイドで調合してもらう場合と比べると、マイルドな効能しか期待できないというデメリットがあります。

漢方薬を飲みながら並行できる治療法

過敏性腸症候群の治療として漢方薬を使う場合、数日間とか数週間で、広い過敏性腸症候群の症状がピタリとなくなることは少ないものです。しかし、服用を続けることで少しずつでも体質や免疫力を改善でき、数か月間治療を続ければ、過敏性腸症候群を起こしにくい強い体質を手に入れることが十分に可能です。そのため、治療を受ける際には、焦らず根気よく、気長に続けるようにしましょう。

漢方薬を使った治療に並行して、日常生活の中でも気を付けたい点がいくつかあります。

睡眠時間を確保

1つ目は、毎日の睡眠時間はできるだけしっかり確保するという点です。規則正しい生活を心がけ、毎日一定時間以上の睡眠時間を確保することは、体内環境の改善に加えて、ストレス解消の効果もあります。

ストレスを溜めこまない

2つ目は、できるだけストレスを溜めこまないように工夫するという点です。運動をして汗を流したり、お風呂に使ってリラックスしたり、趣味に没頭するなど、毎日何かしらストレスを軽減するための工夫をしましょう。過敏性腸症候群はストレスが原因で起こっていると考えられているため、ストレスを軽減することによって、症状が起こりづらくなります。

全身の血行を良くする

3つ目は、全身の血行を良くするという点です。お風呂に入って体を温めても良いですし、ストレッチをして血行改善するのも効果的です。また、整体やマッサージに行くのもおすすめです。特に整体では、骨格のゆがみやズレを矯正することによって、全身の血行を良くすることができます。その結果、自律神経やホルモンのバランスが良くなりますし、血行が良くなることで免疫力が向上し、過敏性腸症候群を起こしづらい体質へと改善できるでしょう。

「過敏性腸症候群」改善サプリ

-過敏性腸症候群

Copyright© トトノウ , 2025 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.