子供の下痢が止まらない、原因はストレスかも?
下痢が起こる原因には、さまざまなものがあります。ストレスもその一つですが、ストレス性の下痢は、大人だけではなく子供に起こることも少なくありません。子供も大人と同じように社会生活を送っていて、その中には様々なストレスが潜んでいます。学校に行けば、先生や友人、上級生や下級生との人間関係がありますし、受験という大きなストレスを感じる経験するでしょう。勉強で苦手な科目がストレスになっていることも考えられます。
日常生活のどこにストレスを感じるかは子供によって多種多様ですし、個人差があります。自分で自覚しているストレスもあれば、自覚していないストレスもあります。本人にストレスを感じているという自覚がなくても、体はストレスを敏感に察知しています。少し悩みがあるとか、少し気になることがあるといった程度でも、体は敏感に反応して、ストレス性の下痢を起こしてしまうことがあるのです。
子供の過敏性腸症候群はどんな病気?
子供のストレス性の下痢は、多くの場合には過敏性腸症候群と診断されます。これは、主にストレスが原因で起こる疾患です。主な症状には、下痢や便秘があり、頻繁に続く下痢だったり、慢性的な下痢、下痢と便秘を繰り返すなど、いくつかのタイプがあります。その中でも若い年代だと、下痢を起こしやすい傾向があります。
過敏性腸症候群は食事の後のタイミングに起こることが多く、急にお腹が痛くなり、我慢できない下痢が起こります。すぐそばにトイレがあるなら、駆け込めるでしょう。しかし、日常生活の中には、すぐそばにトイレがないこともあります。我慢できない下痢に襲われてしまうと、すぐそばにトイレがないと最悪の場合漏らしてしまう事態にもなりかねません。子供の場合、そうした恥ずかしい経験を学校でしてしまうと、いじめの原因になったり、子供自身が学校に行きたくない原因にもなりかねません。
慢性的な下痢は心身症の可能性もアリ
なかなか下痢が収まらない場合には、ストレスによって引き起こされる心身症の可能性も考えられます。子供の心身症はとても多く、引っ込み思案だったり大人しい性格だったりして、自分が思っていることをなかなか発言できない奥手の子がかかりやすい傾向にある他、NOと言えない「いい人」もまた、かかりやすい傾向にあります。
子供の下痢は、念のために小児科へ
子供の下痢の原因には、ストレス性のもの以外にも、細菌性のものやウィルス性のものなど、様々なものがあります。自分ではストレスが原因だと思っていても、実際には他の疾患や感染が原因になることもあります。そのため、様子を見ていてもなかなか良くならない場合や、慢性的に続くような場合には、念のために小児科を受診するのが安心です。
子供の下痢を引き起こす原因の中でも特に多いと言われているのは、ウィルス感染によるものです。ウィルスには、ロタウィルスとかノロウィルス、アデノウィルスなどがあり、下痢以外にも吐き気や発熱などの症状も見られることが多いです。ウィルス感染の場合、下痢は1週間ぐらいで自然に収まることが多いのですが、体力がない子や免疫力が弱い子だと、長引いてしまうこともあります。
食中毒もまた、子供の下痢では多く見られます。食中毒を引き起こす毒素にはいろいろなものがあり、下痢によって自然に排出できるものもあれば、日常生活に影響が出る毒性の強いものもあります。子供の食中毒の場合には、合併症などを起こさない限りは、ひどい重症になることは多くありません。しかし、体調がすぐれない時などには、重症になる可能性があるため、侮ることはできません。
子供の下痢では脱水症状が心配です
大人と比べて体が小さな子供がストレス性の下痢を起こすと、下痢によって体内の水分が奪われてしまい、脱水症状を起こしやすくなります。脱水症状が起こると、下痢と共に嘔吐なども起こりやすくなりますし、ひどくなると意識がもうろうとすることもあります。
下痢や嘔吐などの症状が一度に現れると、ウィルスや細菌による感染を疑う人は多いでしょう。もちろん、感染による症状として下痢が起こっていることもあります。しかし、ストレス性の下痢が脱水症状を引き起こし、脱水症状が他の不快な症状を引き起こすこともあるのです。自己判断するのは危険なので、安心のために小児科を受診することをおすすめします。
この下痢はストレスからくるもの?見分け方はある?
子供の下痢が、感染によるものなのか、ストレスからくるものなのかを見分ける方法がいくつかあります。
下痢が起こるパターンを観察する
1つ目は、下痢が起こるパターンを観察するという方法です。ウィルスや細菌に感染して下痢が起こる場合には、体内のウィルスや細菌、そして毒素などを排出しようと体が反応するために、下痢が起こります。この場合、毒素を体外にすべて排出してしまえば、下痢を起こす必要がなくなるので、自然に収まることが多いです。その子によって治るまでにかかる時間は異なり、1週間から2週間くらいかかることもあります。継続的に下痢が続いた後、ピタリとなくなれば、それは感染が原因と考えられます。
一方で、ストレス性の下痢の場合は、数日の下痢が続いたらなんとなく収まり、数日後に再び下痢が起こる、というパターンになります。子供によっては下痢と便秘を繰り返すこともあり、数日ごとに、ひどい下痢とひどい便秘を繰り返すというパターンもあります。
子供の普段の行動や言動を細かく観察する
2つ目の方法は、子供の普段の行動や言動を細かく観察することです。ストレス性の下痢かどうかを見分ける判断材料となりますし、病院を受診する際には医師に伝えることで、原因を突き止めやすくなります。
例えば子供がストレスを感じている時には、ハキハキしているよりも倦怠感が強くみられる傾向にあります。イライラしていたり怒りっぽくなることもあります。もしも家庭で、兄弟に当たりやすくなったり、親に対する態度が普段よりキツいと感じたら、それはストレスが原因かもしれません。
食欲不振もまた、ストレスの原因となります。ストレスを感じると自律神経が乱れ、食欲を感じにくくなる子はたくさんいます。普段はよく食べる子が食欲不振なら、家庭では比較的気づきやすいのではないでしょうか。また、食べ物を口に入れても呑み込めないといった症状も、起こりやすくなります。
子供のストレス性の下痢は、子供を取り巻く環境や子供の精神状態の不安定さが原因となることが多いものです。特に、小学校から中学校にかけての思春期あたりは、最もストレス性の下痢が起こりやすくなる年齢です。
下痢以外にどんな症状がある?
子供の下痢が、ストレスによるものかどうかを見分けるには、下痢以外にどんな症状が出ているのかを観察するという方法もあります。例えば、下痢はそれほどひどくないけれど、慢性的に吐き気や嘔吐、腹痛、発熱などが起こっている場合には、ストレスが原因の症状だと考えることができます。また、おねしょをしてしまう子もいます。
子供のストレス性下痢を改善する方法はある?
子供のストレス性下痢を根本的に改善するためには、原因となるストレスを解消する方法が理想的です。例えば、受験によるストレスが原因で下痢になっている子なら、受験が終わればピタリと下痢が収まることは多いです。いじめや人間関係で悩んでいる子なら、クラス替えや進学などで周囲の環境が変わることで、下痢がなくなるということもあります。
しかし、子供が慢性的な下痢で悩んでいる時に、あと数年で環境が変わるから我慢しましょうというのは、子供にとっては少し酷かもしれません。必要があれば、カウンセリングを受けるという方法もアリですが、できればその前に、家庭内で子供の気持ちに耳を傾け、悩みや不安、心配なことを聞いたり、一緒に解決する方法を模索してはいかがでしょうか。
薬を使って子供の下痢を改善することはできる?
子供の下痢の治療法には、薬物療法が多く用いられます。病院を受診すれば、薬を処方してもらえるので薬物治療ができます。どんなタイプの薬を使うかはケースバイケースで異なりますが、大きく分類すると4つのタイプがあります。
整腸剤を使う方法
1つ目は、腸内環境を改善することで下痢を起こしにくい腸を作る整腸剤を使った治療方法です。日本における子供の下痢治療で多く用いられるのは、この治療法です。海外での治療に使われている整腸剤と比較すると、有効成分の種類や配合量が異なるため、海外の整腸剤ほど大きな効果は期待できないと言われています。
下痢止めを使う方法
2つ目は、下痢の症状を抑える下痢止めを使う方法です。止痢剤と呼ばれるこの薬は、腸内からの排出を全般的に阻止する役割りをします。水分を置く含んだ食べかすが下痢として排便されるのをブロックするだけでなく、ウィルスや菌への感染で下痢が起こっている場合には、これらの悪い物質の排出も阻害してしまいます。体内から悪い物質を排出できないという点では、あまりおすすめの薬物治療ではないかもしれません。
抗菌剤を使う方法
3つ目は、免疫力が低下することによって菌に感染しにくい腸内環境を作る抗菌剤を使った方法です。この治療方法は、下痢が起こっている原因によって、使えるかどうかが異なります。ストレス性の下痢には使うことはできますが、細菌感染による下痢に使うことはできません。また、短期間だけ使える薬物なので、長期間の服用はNGです。
漢方薬を使う方法
4つ目は、体質を改善して自律神経やホルモンのバランスを整える漢方薬を使った治療方法です。漢方薬にはいろいろな種類があり、それぞれ効能が異なります。また西洋医学とは違い、起こっている下痢に直接作用するわけではなく、下痢を起こしづらい体質改善を目的として行う治療法です。そのため、効果がみられるまでにかかる期間は、他の薬物治療と比べると長くなる傾向にあります。
子供の下痢を改善できる食事とは?
子供の下痢が続いている時には、家庭での食事は、できるだけ子供の腸に優しいものを作るのがおすすめです。腸に負担がかかる脂質が多い食材は避け、消化に時間がかからずに栄養価が高い食材や調理方法を選ぶと良いでしょう。
おすすめなのは、腸内環境を改善する働きがある善玉菌を多く含む食材です。ヨーグルトや納豆・キムチのような発酵食品は効果的ですし、味噌も発酵食品なので良いでしょう。特に味噌汁は、日本人の食卓にはよく登場しますし、具材を選べば、食欲がない時でも少量で高い栄養価を摂取出来ます。それに、みそ汁を温かいうちに飲めば、体を温める効果もあります。体が冷えると消化器官の働きが鈍くなり、下痢を起こしやすくなるので、できるだけ冷たいものを避けて温かいものを食べることが重要です。ただし、発酵食品の中でも腸に刺激のあるスパイシーなキムチなどは、人によっては逆効果な場合があるので注意してください。
食物繊維をたっぷり摂ることもまた、子供の下痢改善対策としては有効です。食物繊維は、腸内での消化に時間がかかってしまいます。しかし、食物繊維は腸内の水分を吸収する働きがあるため、下痢を起こしている時には症状緩和の効果が期待できます。
こうした食品は、どれも腸内環境を改善する働きがあります。しかし、下痢の状態によっては、これらの食品が症状を悪化させてしまうリスクがあるため、観察しながら食材を工夫したり、食べる量を調整すると良いでしょう。
その他、子供の下痢対策として家庭でできる事は?
ストレスが原因の子供の下痢は、ストレスを解消できればストップできることが多いものです。
例えば学校生活においては、頑張り過ぎないこと、進路などについては家庭で話し合って親が子供を理解する態度を示すことなどによって、解決できるかもしれません。また、友人との人間関係については、抱え込みすぎずに周囲に打ち明けやすい環境を作ることで、ストレスをためづらくできます。
家庭環境では、親子関係だけではなく、夫婦関係についても良好であることが子供のストレス軽減につながります。子供にとって、家庭はくつろげる場所であることを大前提とし、家族全員がリラックスできる家庭環境づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。