毎朝の下痢がつらい
朝起きるとお腹が痛くなって下痢におそわれる方や、朝ご飯を食べたり飲み物を飲んだりすることで下痢になる方は少なくありません。せっかく美味しい朝ご飯を食べているのに、毎朝腹痛や下痢に悩まされるのは辛いですよね。ですが、朝の腹痛や下痢には原因と対処法があります。
朝の下痢・腹痛の原因として考えられること
腸のはたらきが急に活発になる
朝起きてすぐの時はまだ身体が完全に起きておらず、腸もあまりはたらいていない状態です。そんな状態の時に朝ご飯を食べると、腸が急に起こされてはたらかないといけなくなります。朝ご飯を食べるだけでも、まだ起きていない身体にとっては大きな刺激なのです。
また、身体の中に入った食べ物は胃を通り、その後小腸に運ばれて消化や吸収が行われます。そして小腸で消化しきれなかったものは、大腸へと運ばれていくのです。大腸には小腸から運ばれてきたものの水分を吸収するという役割があり、適度に水分がなくなったものは健康的な便として排出されます。一方水分が吸収されすぎたものは硬い便になって便秘の原因となるのです。
しかし腸が急にはたらき始めた状態では、動きが速すぎて水分をあまり吸収できません。その結果、水分が多く含まれた下痢として出てきてしまうのです。さらに、腸が急に活発になることで粘液の量が増加したり、水分の吸収能力が弱まったりすることでも下痢が引き起こされます。
過敏性腸症候群になっている
過敏性腸症候群とは、排便することで治る腹痛や下痢、便秘などが1ヶ月以上慢性的に続くことです。20~30代が多く発症しており、下痢になるのは男性に多く、便秘になるのは女性に多いとされています。月曜日の朝などに症状が現れることが多く、休日や睡眠時にはあまり症状がありません。
また、通勤や通学で電車に乗っている時などのすぐにトイレに行けない状態や、ストレスや緊張を感じた時に悪化することも特徴の1つです。それゆえ、悪化すると電車に乗れなくなることもあり、生活に支障が出る可能性もあります。
そんな過敏性腸症候群になるはっきりとした原因は分かっていませんが、さまざまな可能性は考えられています。
ストレス
まず1つ目はストレス。ストレスが溜まると消化器のはたらきが低下するので、下痢や腹痛が起こりやすくなります。ですが、もちろんストレスを感じている人全員に起こるわけではないので、ストレスだけが原因であるとは言えません。しかし、関係していることは確かでしょう。
また、電車の中などトイレに行けない状況で症状が悪化することも、ストレスが関係していると考えられます。一度電車内で腹痛におそわれた経験があると、「また痛くなったらどうしよう」と思うでしょう。その結果、電車に乗るときに意識しすぎて緊張してしまい、さらにお腹が痛くなるのです。
職場や学校に行くことが極度に嫌だったり、プレゼンテーションなどの緊張する状況が待っていたりすると悪化することも多いので、精神的な要因は非常に大きいといえるでしょう。
内臓知覚過敏
2つ目は内臓知覚過敏です。これは、腸が少しでも刺激を感じるとそれを痛みであると捉えてしまうということ。つまり、刺激を感知している脳が敏感になりすぎているのです。
これら以外にも、アレルギーによって下痢が起こっているのではないかという説や、炎症があるから腹痛が起こるのではないかという説などがあります。
さらに、ストレスや不安などの原因と、消化が悪い食べ物を食べるという原因などが重なって下痢や腹痛が誘因とされることも考えられるでしょう。
胆汁によって引き起こされている
胆汁とは肝臓で作られるものであり、脂肪を乳化させて消化しやすくするといった機能を持っています。小腸の入り口で分泌されて、再び小腸で吸収されます。
そのため通常は胆汁が大腸に入り込むことはありませんが、まれに何らかの原因で大腸に入ることがあるのです。そして大腸に入ると下剤のようなはたらきをしてしまい、下痢を引き起こします。
健康な人の場合は、胆汁が大腸に少しくらい入り込んでも下痢になることはありませんが、なかには胆汁に反応しやすいという体質の人がいるのです。さらに、小腸が炎症を起こしていて胆汁をうまく調整できない状態であると、胆汁が過剰に分泌される恐れがあります。前日の夜に飲み物を飲み過ぎることによっても、胆汁はたくさん作られます。
朝食を食べてから30分~2時間後くらいに、腹痛は無いのに強い便意があり下痢になる方は、胆汁が原因である可能性が高いでしょう。市販薬などを服用しても効果がないという特徴もあります。
ホルモンが低下して自律神経が乱れる
40代や50代になると、男女ともに更年期障害の影響が出てきます。更年期の時期には男性ホルモンや女性ホルモンの分泌量が少なくなり、結果的に自律神経が乱れます。そして自律神経が乱れると、消化器系の機能が低下するため下痢が起こりやすくなるのです。
朝食を食べることが体質に合っていない
そもそも朝は、栄養を吸収するというよりも要らないものを身体から排出することが活発に行われる時間です。それゆえ、朝食は消化されにくいのです。
幼い頃から毎日朝食を食べていて身体が慣れている場合は、きちんと消化できるでしょう。しかし慣れていない場合や、体質的に消化が苦手な場合は下痢になりやすいのです。
消化しにくいものを食べている
朝食としてパンとソーセージを食べたり、コーヒーを飲んだりする方は多いでしょう。ヨーグルトやフルーツを食べる方もいるのではないでしょうか。
朝食を食べること自体は大切なことですが、脂を多く含んだ食品やカフェイン、乳製品などは消化しにくいのです。よって、これらの食品を朝食として食べている方は、食べたものが原因となっていることも考えられるでしょう。
前日の夜に食べたものが原因
前日の夜に刺激が強いものを食べた場合、翌朝腹痛や下痢におそわれることがあります。たとえば辛い料理や脂っこい料理、ジャンクフードなどです。お酒を飲みすぎることでも腸の粘膜が荒れます。
さらに、夕食を食べる時間が遅かった場合や夜食をがっつり食べた場合も、下痢を引き起こす可能性が高くなります。
お腹が冷えている
夜お腹を出しながら寝ると、寝ている間にお腹が冷えます。お腹が冷えると腸が収縮して水分を吸収する機能が弱くなってしまい、朝起きた時に下痢におそわれるのです。睡眠中は体温自体が低くなっているので、そこからさらにお腹を冷やしてしまうと腸がうまく機能しません。
また、急に冷たいものを飲んだり食べたりすることによってもお腹は冷えてしまいます。
朝の腹痛・下痢への対処法
朝起きてすぐに朝食を食べない
朝は出勤の支度や家事などでとても忙しい時間帯なので、朝起きてすぐに朝食を済ませたいと思う方も多いでしょう。ですが、朝起きてすぐにご飯を食べると、身体が驚いてしまいます。きちんと消化ができず下痢が引き起こされるので、できれば起床後30分から1時間程度は時間をあけてから食べるようにしてみてください。
ウォーミングアップとしてストレッチをしたり、飲み物を飲んだりすることもおすすめです。ただし、冷たい飲み物はお腹を冷やしてさらに下痢や腹痛が起こる可能性を高めてしまうので、常温や温かいものをゆっくり飲んでください。ほっと一息つけてストレス解消にもなる、白湯や温かいお茶がおすすめです。
ストレスを溜めない
日常的にストレスを感じやすい場合は、できればストレスを溜めないようにすることを心がけましょう。特に、毎朝下痢に悩まされている、出勤する時に必ず腹痛におそわれるなどの場合は、ストレスが溜まりすぎている恐れがあります。自分なりの発散方法を見つけてください。たとえば週末には友人と食事に出かける、休日は趣味を思い切り楽しむなどの発散方法が考えられます。また、仕事中でも適切に休憩を取るなどしてリフレッシュすることで、ストレスをうまくコントロールできるでしょう。
さらに、可能であればストレスを感じる環境から逃げることも大切です。身体に不調を感じるほどのストレスは大きすぎるので、適度に休んでください。ですが仕事などの場合は簡単に環境を変えられないので、自分なりに安心できる環境やルーティンを作ることも効果的です。緊張するプレゼンテーションやトイレに行けない会議の前には排泄を済ませておくことで、「お腹が痛くなったらどうしよう」といった不安は軽減されるでしょう。
生活習慣をととのえる
ホルモンバランスや自律神経を整えたり、消化器系の機能を低下させないためには、生活習慣が大きな鍵となります。不規則な生活を送っているとお腹以外にも不調が出てきますし、ストレスの原因にもなるでしょう。
そこでまずは、早寝早起きを心がけてください。睡眠時間を毎日一定にすることも大切です。なるべく決まった時間にベッドに入り、決まった時間にベッドから出るというサイクルを作りましょう。
排便習慣も大切です。自分の意志でなかなかコントロールできるものではないので、習慣を付けることは難しいかもしれません。ですが、まずは朝起きたらトイレに行く習慣を付けることから始めてみてください。
適度な運動も大切。軽く運動する習慣を付けることで、胃腸のはたらきを活性化させることができます。
朝食のメニューに気をつける
朝食を食べることで下痢になる場合は、朝食べたものが大きく関係していると考えられます。それゆえ、朝食メニューを見直してみてください。
たとえば脂や乳製品などは消化されにくいので、あまり摂取しないようにしましょう。柑橘系のフルーツなども刺激が強いので注意が必要です。今まで洋食系の朝食を食べていた場合は、ヘルシーな和食などに変えてみるという方法もあります。
食物繊維をとることで老廃物の排出が促進されるので、ごぼうやさつまいも、わかめやりんごなどの、食物繊維を多く含んだ食材を積極的に取り入れましょう。
脂っこいもの、辛いものなどを避ける
前日の夕食や夜食も翌日の腹痛に影響を及ぼすので、夜には脂っこいものや辛いものをあまり食べないことをおすすめします。特に夜食として揚げ物やスナック菓子をたくさん食べている場合は注意してください。アルコールやコーヒーなどの刺激が強い飲み物も要注意です。
さらに、食事の取り方も重要です。食事を抜いたり食事の時間をバラバラにしたりすると、食生活が乱れます。なるべく毎日同じ時間に肉や魚、野菜やフルーツなど食べて、バランスのよい食事を心がけてください。
十分に噛みながらゆっくり食べることも大切です。そうすることで消化しやすくなるので、消化器系に大きな負担がかかることを防げます。
お腹を冷やさない
睡眠時にお腹を出していると腸の血流が悪くなって、下痢を引き起こしやすくなります。特に夏場は暑くて、掛け布団をかけずに寝る方が多いかもしれません。ですがエアコンによって冷えることも多いので、お腹だけでもブランケットなどをかけて寝るようにしてください。
朝食を食べない
生活習慣を整えたり食事に気を遣ったりしているのに朝の下痢が改善しない場合は、朝食を食べることが体質に合っていない可能性があります。1日のエネルギーが作られるので朝食を食べることはとても大切ですが、それによって下痢になりストレスが溜まることは問題です。
朝食を食べることによって得られるメリットと、下痢になるというデメリットを比較して、食べるかどうかを検討してみてください。まずはおかゆや白湯などの軽いものに減らして、慣れてきたら下痢にならない量にまで徐々に増やすという方法もあります。
医療機関の受診
早めに病院に行きましょう
症状があまりにも続く場合や悪化している場合、自分では対処できないと感じた場合は早めに病院に行ってください。原因が分かったり、薬を処方してもらったりすることで安心できるでしょう。何らかの病気にかかっている可能性もゼロではありませんので、単なる下痢だろうと思って軽視せず、早めに相談してください。
また、下痢や腹痛にはストレスも大きく関係していることが多いです。場合によっては心療内科などへの通院も必要になってくるでしょう。
さらに、一見関係ないように思えても、心の不調と骨の変形は関連しているものです。心の不調が楽になるケースもありますので、整体を受けることも検討してみてください。