一人暮らしの朝食が面倒になる理由
一人暮らしが続くと自分中心の生活になるため、朝の時間がおっくうになりがちです。朝食が面倒になる理由はそれぞれですが、考えられる理由はいくつかあります。
休日の目覚めが昼食の時間になる
規則正しい生活をしていても、休みの日くらいは目覚まし時計に左右されず眠っていたいと感じます。平日でもぎりぎりまで眠っていたいという人もいるでしょう。このように、休日は朝食と昼食を兼ねてしまうという場合や寝過ごす寸前のぎりぎりの時間に起床して出かけるという人もいるため、朝食は二の次になってしまうことが考えられます。寝起きの体で朝食を食べようとしても、食欲がわかないということもあるようです。朝食を食べるなら、少し早めに起床時間を設定して、体のアイドリング運転をすることも一案です。
朝は身支度にウエイトを置きたい
出勤や通学前のぎりぎりの時間まで、身支度にウエイトを置きたいという人も見られます。男性の場合だと、ヘアメイクやシェービングなどに時間がかかります。女性ならメイクアップに時間をかけるでしょう。また、寝起きにゆっくりシャワーを浴びるという人もいるようです。身支度に時間をかけ過ぎてしまい、気が付けば家を出る時間になってしまうということで、朝食を食べずに家を出る人に多く見られる事案ではないでしょうか。
コーヒーやスムージーで置き換えしがち
朝は少しでも長く眠っていたい、身支度に時間をかかる、けれどもお腹には何か入れて出かけたいという人の中には、「置き換え」で朝食を済ませてしまう人も見られます。コーヒーやスムージードリンクで朝食を摂ったことにするのです。固形物ではありませんが、胃腸に何らかの食べ物を入れるため、一日の元気は得られます。ただし、身体活動に必要な糖分などが十分に補えない場合があるので、結果として「朝食を抜いている」ことになりがちです。
朝食を抜くと起こりやすい体調変化
朝食を抜くと、体に力が入りにくいなど何らかの体調変化が見られます。その日一日だけであれば問題ないかもしれませんが、朝食が面倒になって摂取しないことが日常的に続くと、明らかな体調不良に発展する可能性があります。
集中力を欠いてしまう
朝食には脳を活動的にさせるブドウ糖などが含まれています。ブドウ糖は体に蓄積されることなく代謝されますので、その日一日で必要な量を補うことが必要です。朝一番にブドウ糖が不足すると、集中力を欠いてしまうことがあります。物忘れといった記憶力にも直結しますので、何らかの形で糖分補給は大切です。ブドウ糖液糖が含まれた飲み物でもよいのですが、できればでんぷん質のごはんやパンを咀嚼して、唾液のアミラーゼによって栄養素の分解を促すことがおすすめです。
集中力を欠くといえば、空腹感によって集中がそがれるということも考えられます。イライラが収まらないという場合も、「お腹が空いているから」という結論に到達することがあるようです。
自律神経の乱れが起こりやすくなる
朝食を面倒がることは、不規則な生活の一つとみなすこともできます。朝寝坊が常態化している場合や夜更かしが続く場合、自律神経の乱れを疑う必要があります。自律神経のバランスが崩れると、めまいやふらつき、女性の場合は体の冷えや月経不順などが起こりやすくなり、また、精神的に不安定な症状なども見られるようになります。朝食を食べることは1日25時間の体内時計をリセットすることにもつながるので、規則正しい時間に食べられるよう、工夫することが大切です。
筋肉の量が減ってしまう
朝食を面倒がって食べない日が続くと、脳に一日の活動に必要なブドウ糖が送られない状態が続きます。すると、ブドウ糖の代わりに、肝臓や骨格筋に蓄積されたグリコーゲンが補充されます。骨格筋に蓄積されたグリコーゲンまで脳に補充されるようになれば、当然、筋肉量が減ってしまいます。食事量を減らしてダイエットを目指しているという人の中で、体重が落ちにくくなったという場合や筋力トレーニングをしているのにプヨプヨした脂肪しか残らないという場合は、ブドウ糖の摂取が不足している可能性が考えられます。
血糖値が上昇しやすい傾向になる
朝食を食べないでいると、血糖値は下がります。血糖値を安定化させるため、自律神経はインスリン拮抗ホルモンの分泌を促します。この状態が続くと、血糖値が高い状態で昼食を食べることになり、食事後には通常よりも血糖値が高い状態になってしまいます。すると、今度は上昇した血糖値を下げるために、自律神経がインスリンを大量に分泌するよう促します。これによって血糖値が急激に下がるため、インスリン拮抗ホルモンの分泌を促すというような悪循環に陥ってしまいます。一日のうちで急激な血糖値の乱高下が繰り返されると、体への負担が大きくなりますし、太りやすい体に変化してしまいます。
生活習慣病のリスクが高まる
自律神経の乱れや血糖値の乱高下など、朝食を抜くことでの弊害をまとめましたが、これは結果的に生活習慣病のリスクを高めます。「面倒だから朝食を抜いた」というだけのことが、生活習慣病を引き起こしてしまう可能性があることも覚えておくとよいでしょう。
朝食抜きがもたらす思わぬメリット
朝食を抜くことは、体に弊害をもたらすことだけではありません。思わぬメリットも生まれます。ただし、以下に掲げる内容を常態化させてしまうと、最終的には筋力低下や血糖値への変化を生み出しかねません。メリットありきで朝食を抜くことは避けましょう。
暴飲暴食で疲弊した胃腸のトリートメント
前日の夜にアルコールや普段以上の量の食事を摂った場合、睡眠時間だけでは消化しきれない場合があります。この状態では、朝食を食べるより、1食お休みして胃腸のトリートメントに充てると、胃もたれや胸やけといった症状を抑えることができます。ただし、脱水症状にならないためにも、コップ1杯程度の牛乳や消化に良い粥などを摂ることをおすすめします。
1日の摂取カロリーを減らせる
成人男性が1日に必要な摂取カロリーは、生活強度や体重にもよりますが、1900kcal~2400kcalの間とされています。簡単に考えると、1食あたり800kcalが上限となるでしょう。定食ものなどは高カロリーのものも多く、食べたいものだけを食べてしまうとカロリーオーバーということも少なくありません。朝食を抜くことによって、摂取するカロリーを減らせます。その分を昼食と夕食に充当できると考えることもできます。しかし、1食の量を食べすぎてしまっては元も子もありません。1食の量を腹7分目量にすれば、カロリー摂取をわずかでも抑えられます。これで1日3食を励行すれば、必然的に摂取カロリーは抑えられます。
朝の忙しい時間をほかのことに充てられる
朝の忙しい時間を10分でも有効に使いたいという人が、朝食を省くことで時間の余裕を作っています。寝坊してしまったという場合や調理の時間を省きたいという理由から、朝食を抜くことで、その時間を身支度などに充てているのです。
朝食を抜くことで若返るって本当?
朝食を抜くことで、先に掲げたほかにも、ご長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」が活性化するといわれています。
サーチュイン遺伝子とは
サーチュイン遺伝子は、若返りに役立つ遺伝子とされています。研究成果から、私たちヒトがだれでも持っている遺伝子であることがわかりました。この遺伝子は休眠状態であることが一般的ですが、活性化すると、細胞内の異常なたんぱく質や老朽化したミトコンドリアが除去されるうえ、細胞自体が新しく生まれ変わるという作用をもたらします。サーチュイン遺伝子を活性化させるには飢餓の状態を作ることがよいとされていますが、飽食時代の昨今では活性化することは少ないと考えられています。ですから、一般的には、普段の食生活の上でカロリー摂取を減らすことがよいと考えられています。このことから、「朝食を抜いてサーチュイン因子を活性化させる」という説が出たようです。
サーチュイン遺伝子の活性化によるメリット
サーチュイン遺伝子が活性化することで、私たちの体にメリットがもたらされます。一番大きいのは、細胞が生まれ変わるため、活性酸素の除去や生活習慣病のリスク軽減などが挙げられます。動脈硬化や高血圧といった血管系の病気に関しても予防効果が高まりますので、長生きできると考えられているのです。1日でも長生きしたければサーチュイン遺伝子の活性化を導くことが大切ですが、いつどこでサーチュイン遺伝子活性化のスイッチが入るかはわかりません。このため、継続したカロリー摂取制限が必要になるとされています。
朝食を抜くよりも食事制限が吉
カロリー制限で若さを取り戻せると考えるならば、面倒な朝食を抜くことで長生きが約束されると解釈することも可能です。研究によると、1日25%のカロリー摂取制限を3週間以上続けることで、サーチュイン遺伝子の活性化が認められることが実証されています。例えば、毎日2000kcalの摂取が理想的とされている人であれば、1日の上限を1500kcalに設定するだけです。3食分であれば、1食あたり500kcalの摂取が上限になります。朝食を抜くことで飢餓の状態を作ることもできますが、サーチュイン遺伝子の活性化よりも先に、血糖値の問題などが出てしまっては本末転倒です。朝食を抜くのではなく、カロリーを抑えた献立で1日3食を食べることが大切です。
朝食を面倒に思わないためには
一人暮らしで朝食を面倒に思ってしまう人の中には、慢性化した体調不良を訴える人も見られます。朝食を食べることで解決できるならば、生活習慣を改善しながら朝食を食べる習慣を定着させていきましょう。しかし、毎日朝食を食べる生活が受け入れられないかもしれません。簡単にでも何かを食べることを優先させて、少しずつ朝食を食べることを定着させるように意識しましょう。
フルーツや栄養ゼリーなどを食べる
皮をむかずに口に放り込めるフルーツは、手っ取り早くブドウ糖を体内に取り込めます。また、栄養素を含む高カロリー系のドリンクやゼリーを手早く食べる方法も取り入れていきましょう。栄養を手軽に補給できるドリンクやゼリーは、味や食感も改良されています。1~2分程度で朝食1食分に近いカロリー摂取ができるので、おすすめです。
インスタントスープなどで時短調理
お湯を注ぐだけですぐに食べられるインスタントスープは、朝食の強い味方です。フリーズドライの製品は大きめの具が入っているものも多く、食べ応えも期待できます。スープに冷やご飯を少量入れれば、リゾット風の朝食に早変わりです。パンやコーンフレークを入れるなどの工夫もできますので、朝食の調理時間を省きたい人は取り入れてみましょう。
電子レンジを活用しよう
電子レンジに調理を任せることで、手元がフリーになります。この時間を身支度の時間に充てましょう。玉ねぎ1/6個とベーコン1枚を刻み、コンソメと水も一緒に大きめのスープカップに入れます。電子レンジに入れて4分間加熱して、その間バゲット1枚をトーストしておきます。レンジアップ後、バゲットを浮かせると、オニオングラタンスープ風に早変わりです。チーズなどを入れると、たんぱく質も取れます。前日の夜に、レンジにかけるまでの準備をしておけば、朝はレンジのスタートボタンを押すだけなので、時短調理につながります。
ホットケーキミックスを使った蒸しパンも電子レンジで作れますし、レンジ用シリコン調理器具を使えば、温野菜なども簡単に作れます。ボタンを押すだけの調理であれば、朝食を食べることも面倒に思わなくなるかもしれません。
忙しい朝でも朝食は必須!
朝食を面倒がって抜いてしまい、体調不良になったならば、生活改善が必要になります。朝食を抜くことで胃腸のトリートメントやカロリー摂取コントロールなどにつながるメリットもありますが、血糖値の問題やイライラの問題などがあれば、むしろデメリット先行となるでしょう。食事(カロリー)制限が若返りにつながるともいわれているので、朝食を抜くことを正当化しがちですが、1食抜くという考え方ではなく、1食のカロリーを減らして3食食べることを意識することが大切です。