野菜から栄養を摂る方法
野菜は健康に良いから、基本的には毎日食べようと推奨されています。しかし、漫然と食べているだけでは、野菜の酵素やビタミンなどの栄養素をフルに摂取できない可能性も考えられます。一人暮らしの毎日で野菜から栄養を摂る方法は次の通りです。
調理を丁寧に行うのがポイント
刻む、煮る、炒めるなど、さまざまな調理方法があります。刻むや炒めるといった調理を丁寧に行うことで、咀嚼しやすくなりますし、体内に栄養が取り込みやすくなります。咀嚼をすることで、食材を分解する酵素が唾液とともに分泌されます。酵素分解が進めば、小腸や大腸でしっかり栄養素が吸収されます。よく噛んで食べられるよう、下ごしらえは大切です。
人によっては、調理が面倒という場合もあるでしょう。カットされた野菜や水煮野菜、冷凍野菜などを視野に入れておくことも一案です。特に、水煮調理されている根菜類は保存もできるので、ストックしておくと便利です。含め煮などの煮物調理に向いています。短時間で調理できるメリットもあります。
加齢によって、野菜の繊維質が咀嚼しにくいというケースもあるでしょう。圧力なべを使って柔らかく調理するほか、介護食なども販売されているので、適宜利用してみてはいかがでしょうか。
野菜の種類を意識して食べよう
葉物野菜、根菜類、豆や穀物など、野菜にはいろいろな種類があります。野菜というと葉物野菜を想像してしまう人も多いのですが、いろいろな野菜を全般的に食べることをおすすめします。葉物野菜を含む緑黄色野菜は、ビタミン摂取がかないます。また、根菜類の場合は食物繊維が豊富ですし、カボチャやトマト、ナスなどの色の濃い野菜は色素の中に含まれたポリフェノールの摂取が可能です。もちろん、ジャガイモや大豆、トウモロコシなどはエネルギーの元となり、体のトリートメントにもつながります。
乾燥野菜もおすすめ
天候の兼ね合いなどから、野菜の価格が高騰することがあります。冬場は特に、野菜が高いと感じることもあるのではないでしょうか。こういった場合は、保存ができる乾燥野菜を使うことも一案です。身近なところでは、切干大根やみそ汁の具用の乾燥野菜といったところでしょうか。乾燥野菜に仕立てると、ビタミン類の量が高まるほか、水分が飛ぶことでうまみが凝縮します。特に、干し野菜はビタミンDの量が高まるので、骨粗鬆症予防にも一役買ってくれます。乾物売り場でいつでも購入できるところもうれしいです。干し野菜は自分で作ることもできるので、野菜が食べきれないという場合でも無駄にすることはありません。
小食世代、バランスよく食事をするには
年齢を重ねるとすぐ満腹になり、食事量が減ってしまうと感じる人もいるのではないでしょうか。小食になってしまって、野菜を食べずに主食だけで済ませてしまうことも考えられます。食べる量が減ってしまった、たくさん食べられないという場合でも、上手に食事で栄養を摂る方法はあります。
魚や肉も摂取しよう
定食メニューが食べきれなくなったなど、小食を悩む人も見られます。野菜だけで栄養を摂取することはできません。少量でも、魚や肉と合わせて献立作りができるよう工夫しましょう。一人暮らしの場合は、一人分の食事がなかなか作りづらく、野菜を購入することが少なくなってしまうこともあるでしょう。野菜が余って使いきれないという場合などは、煮物など1食分で食べきりの惣菜やレトルト食品などを合わせてみてはいかがでしょうか。
加熱でかさを減らして食べよう
ほうれん草などの葉物野菜は、加熱することでかさが減ります。加熱によって葉が柔らかくなるなど、食べやすさも増しますので、生のままではなく、加熱して食べることを意識しましょう。中には加熱することでビタミン類が失われてしまうこともありますが、野菜が持つ食物繊維やポリフェノール類は摂取可能です。栄養素の吸収を手助けしてくれる酢や油と合わせて調理するように、工夫してみるとよいでしょう。成人の場合、1日に必要な野菜の摂取目安量は350グラムと言われています。1食あたり120グラム前後が目安ですが、調理することで120グラムの野菜も食べやすくなります。
軽い運動を取り入れることも一案
食事量が減ってしまった、食欲がない、食事制限を受けているという場合、目安量を食べきることができず、悩む人もいます。少しでも食欲アップし、体質改善につなげるためには、軽い運動を取り入れることも一案です。体に負担がかからない程度の早歩きで、30分以上歩くだけで構いません。有酸素運動は体の代謝を高め、消化を促してくれます。また、外を歩くことは気分転換も兼ね、食事が進みやすいといったうれしい効果も得られます。運動をすることで健康に関する数値が安定するといったメリットも得られるので、体重管理などが必要だけど食事管理が苦手という方も、この方法はおすすめです。
乾燥野菜を作ってみよう
野菜で栄養を摂りたいけれど、使いきれずに持て余してしまうという人もいるのではないでしょうか。もし手元にある野菜が使いきれないというのなら、乾燥野菜に仕立ててみるとよいでしょう。乾燥の仕方はとても簡単です。また、使う時も水で戻すほか、煮物や汁物に直接投入するだけでもよいので、気軽に使えます。先にも触れましたが、乾燥野菜はビタミンの量が増えますし、野菜が持つうまみもしっかりと楽しめます。自宅でも作れますので、試しに作ってみるとよいでしょう。
乾燥野菜に向いている野菜
たいていの野菜は乾燥野菜に加工可能です。カボチャやレンコンなども乾燥野菜に仕上げられます。キュウリやニンジン、パプリカ、ナスなどは乾燥野菜に最適です。初めての方はこういった野菜を乾燥させてみるとよいでしょう。ただし、水分が多い大玉トマトなどは、そのまま乾燥させるのは向いていません。種を包むゼリー質を取り除いた後、塩を振ってある程度脱水してからのほうがうまくいきます。
乾燥野菜の作り方
野菜はきれいに洗った後、皮がついたまま切ります。千切りや輪切り、半月切りなど、調理するときに使いやすさを考えて切るとよいでしょう。また、できるだけ薄く切ることがポイントです。
野菜用の干し網に、切った野菜を重ならないように並べて、日当たりがよく、風通しがよい場所に干すだけです。6時間程度でセミドライ、1~2日ほどの乾燥で水分が完全に抜けます。
ミニトマトなど水分が多いものは塩を振り、15分ほど時間を置いた後、浮き上がった水分をふき取ってから、120度に設定したオーブンで90分ほど加熱します。セミドライの状態で、オイル漬けにするとよいでしょう。
ナス、ゴボウなどアクが強い野菜は、水に数分間さらしてから干します。その際は、キッチンペーパーで丁寧に野菜の水分をふき取ってから干してください。
乾燥野菜の注意点
乾燥野菜は、乾燥剤を入れた密封瓶などに入れて、早い段階で使いきるようにしましょう。完全に水分が飛ばないセミドライの状態だと、カビが生えやすくなります。また、外に干す場合は、湿度に左右されない晴れた日の午前中から干し始めましょう。夜露に当てないように、夕方近くには家に入れたほうが安心です。
時間をかけずに乾かす場合は、オーブンを使った乾燥も一案です。加熱乾燥させる場合は、110度~120度に温度設定をしましょう。加熱しすぎると発火しますので、様子を見ながら加熱時間を調節するとよいでしょう。
おすすめしたい栄養が取れる野菜レシピ
一人暮らしで野菜をメインにした料理を作るとなると、量が多くなってしまって食べきれない、調理時間がかかる、ということもあるでしょう。ここでは、手間をかけず簡単に作れる、野菜がメインのレシピをピックアップしました。
レンジで作る卯の花炒り
卯の花炒りは食べやすく、大豆の繊維質などが摂取しやすいメニューです。しかし、購入する際、パッケージングされたおからの量が多いなど、作るのにハードルが高いという事実があります。今回は、保存性に優れた「おからパウダー」を水に戻したものを用い、レンジで加熱の手間を省いて作る方法を取り上げました。材料もシンプルにしています。ツナの缶詰や油揚げでコクをプラスし、栄養素が取れるよう工夫をしたメニューです。実質使っている野菜はニンジンのみですが、ほかのメニューにプラス一品を考えたときに、おすすめの副菜メニューです。
【材料】
作りやすい量
☆乾燥おから 20グラム(水75ccで戻す)
☆ニンジン 1/4量 みじん切り
☆油揚げ(ハーフサイズ)1枚 千切り
*ツナ缶 60グラム(汁ごと使う)
*醤油 大さじ2
*みりん 大さじ2
*水 大さじ3
*砂糖 小さじ1
【作り方】
- 下準備をした☆印の食材を耐熱容器に入れ、4分間レンジにかけます。
- *印の材料と調味料を合わせ、1の容器に入れてかき混ぜます。
- 2をレンジで3分間加熱したら完成です。
ナスの揚げびたし風
夏から秋にかけて旬のナスは、油と相性が良い食材です。酢醤油につけて、さっぱりとした風味で食べましょう。少し多めの油を使ってフライパンで焼くので、表面はしっかりとした焼き目がつきますが、中はとろとろでおいしく食べられます。お酒のつまみにもおすすめで、後を引くおいしさです。できあがった揚げびたし風に、大根おろしや万能ねぎを添えてもよいでしょう。
【材料】
・なす 2本(4分割したのち、皮目に切れ目を入れる)
*めんつゆ(3倍濃縮)30cc
*米酢 5cc
*水 30cc
*ショウガ(すりおろし)3グラム
・サラダ油 大さじ2強
【作り方】
- *印の調味料を合わせ、バットに準備しておきます。
- フライパンにサラダ油を熱し、下準備したナスを焼きます。
- なすに十分に火が入ったら、熱いままのものを1が入ったバットに入れ、なじませます。
- 粗熱が取れたら完成です。冷蔵庫で冷やして食べてもよいでしょう。
野菜ジュースで作るキーマカレー
カレーライスはレトルトで済ませてしまうという場合もあるでしょう。少し時間があるなら、野菜ジュースを使って一人分だけのキーマカレーを作りませんか。野菜はチョッパーでみじん切りにすれば、後は簡単です。野菜ジュースにもたっぷりの野菜が使われているので、少量でもたっぷりの野菜を食べたことになります。セロリが苦手という人も、炒めてから使うことで苦手に思える風味が消えるので、使った事実に気づかずに食べられます。野菜ジュースもストックしておくと便利ですし、常備菜とひき肉、カレー粉があれば、いつでも気軽に作れます。
【材料】
・ニンジン 1/4本
・玉ねぎ 1/4個
・セロリ 7センチ程度
・ニンニク 1かけ
・ひき肉 100グラム
・野菜ジュース 200ml(食塩無添加のトマトジュースでもよい)
・カレールー 2かけ
・サラダ油 小さじ2
・ごはん 適宜
【作り方】
- 野菜はすべてみじん切りにします。
- 18cmくらいの鍋にサラダ油を熱し、みじん切りのにんにくと野菜を炒めます。
- 野菜がしんなりしてきたら、ひき肉を炒めます。
- 油が出てきたら、都度キッチンペーパーで吸い取っておきましょう。
- 野菜と肉に火が通ったら、野菜ジュースを入れ、10分ほど煮込みます。
- カレールーを入れ、焦がさないように煮込んで完成です。
- ごはんとキーマカレーを盛り付けます。
カレールーをケチャップ(40グラム)に変更すると、ミートソース風で食べられます。パスタにかけて食べてみましょう。ケチャップを入れた後は焦げやすくなるので、木べらなどで焦げ付かないように、混ぜながら煮込んでいきましょう。塩コショウで味を調えてから仕上げてください。
野菜を使ったメニューと運動で健康に
一人暮らしの料理は、干し野菜やカット野菜なども取り入れながら丁寧な調理をすることで、野菜の栄養を摂取することができます。もちろん野菜だけでは体の営みに必要な栄養を摂取できないので、肉や魚などを適宜、献立に取り入れていきましょう。また、レンジなどを使って調理をすると、時短のうえ、手間をかけずに調理が可能です。料理が苦手な人でも、積極的に野菜を使ったメニューを作るようにしましょう。
少しでもおいしく食事ができるよう、運動などを取り入れることも必要です。気分転換を兼ねて気楽に運動を取り入れると、体質改善などのうれしい結果も得られます。体に負担がかからないよう、無理のないウォーキングなどを取り入れてはいかがでしょうか。