「健康に過ごすためにはビタミンを摂りましょう」と言われたことがある人は多いのではないでしょうか。しかしビタミンを摂るには具体的にどうすればいいのか、何を口にすればいいのか、イマイチわからないという人がほとんどだと思います。そもそもビタミンはなぜ必要だと言われているのか、一人暮らしでビタミンが不足するとどうなってしまうのか、ビタミンについて考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
そもそもビタミンってなに?
そもそもビタミンとは、健康でいられるために必要な栄養素だと考えましょう。「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」という単語を聞いたこともあるのではないでしょうか。
脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンは、ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKの4種類になり、油に溶けやすいビタミンです。ビタミンAは視覚に作用し、ビタミンDは骨の形成に、ビタミンEは抗酸化作用、ビタミンKは血液凝固作用があると言われています。油に溶けやすいので、体からすぐに流れ出ることはありません。あまりにも摂取しすぎると体に悪影響が出ることもあるので、適度に摂取する必要があります。
水溶性ビタミン
反対に水溶性ビタミンは水に溶けやすいため、体から簡単に流れ出てしまいます。そのため過剰に摂取しすぎる心配はありません。水溶性ビタミンには、ビタミンB1やビタミンB2、ビタミンB6やビタミンB12、ビタミンC。また、葉酸やナイアシン、そしてビオチンやパントテン酸の9種類です。ビタミンB1は糖質の代謝を高め、ビタミンB2は糖質や脂質、アミノ酸の代謝を高めます。さらにビタミンB6はアミノ酸の代謝を高めると言われています。ビタミンB12は神経細胞の維持、ビタミンCは鉄分の吸収を手伝う作用があり、葉酸は血液を作ります。よく妊活をしている女性や妊娠中の女性に葉酸の摂取が推奨されていますが、貧血になりやすい状況を少しでも和らげるためだと言われています。そしてナイアシンはエネルギー代謝、ビオチンとパントテン酸は糖質・脂質・アミノ酸の代謝を高める効果があります。
エネルギーを作り出す役割があります
このようにビタミンは健康を保つために必要な栄養素ですが、他にも体の中でエネルギーを作り出す役割があります。人間が活動するためのエネルギーはクエン酸回路から作られており、このクエン酸回路を活発に働かすためにはビタミンが必要です。
ビタミンの摂取で気をつけなければいけないのが、サプリメントなどを使用に適応量以上に摂取してしまうことです。特に、脂溶性ビタミンは気をつけなければいけません。最近は美容情報などでサプリメントをおすすめしていることもありますが、使用する際は記載されている摂取量をきちんと守るようにしましょう。
ビタミンが不足するとどうなるの?
数多くの種類があるビタミンですが、不足するとどう影響が出てしまうのか疑問に感じているのではないでしょうか。人間のビタミンが不足すると健康面に悪影響が出始め、子供であれば成長にも影響が出てしまいます。前章で紹介したようにビタミンは健康を保つだけでなく、エネルギーの作成にも関係しています。そのためビタミンが不足すると疲れやすくなり、気怠さを感じることもあるでしょう。他にも、肌荒れがし始めたり爪がもろくなるという影響もでることがあります。肌荒れが気になるときはビタミンC・ビタミンB2が不足していることが多く、これらは水溶性ビタミンなので気をつけて摂取していないとすぐに不足してしまいます。
1日に摂るべきビタミンの量はどのくらい?
ビタミンが必要だということは理解したものの、1日どの程度気をつけて摂取すればいいのか目安が知りたいという人もいると思います。厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準の概要」を確認すると、ビタミンCの推奨摂取量は15歳以上で100mgと記載されています。まずは脂溶性ビタミンである4種類から、ビタミンAは650(μgRAE/日)、そしてビタミンDは5.5(μg/日)、またビタミンEは6.0(mg/日)になり、最後にビタミンKは150(μg/日)です。次に水溶性のビタミン9種類は、まずビタミンB1は1.1(mg/日)になりビタミンB2は1.2(mg/日)、そしてビタミンB6は1.2(mg/日)、ビタミンB12は2.4(μg/日)、ビタミンCは100(mg/日)、最後に葉酸は240(μg/日)になりナイアシンは11(mgNE/日)、パントテン酸は4(mg/日)です。厚生労働省の推奨にはビオチンの量は記載されていませんでした。
ビタミンを摂るには野菜から
1日に必要なビタミン摂取量を知ったものの、どう摂取すればいいのか分からないですよね。第一に、ビタミンは人間の体内では作りだすことができません。そのためビタミンの摂取方法は、野菜や果物から体内に吸収することを考えましょう。文部科学省が発表している「日本食品標準成分表」では、ビタミンCを最も含んでいるのはパプリカになり、100gあたり170mg含まれています。次に多いのがブロコっリーになり100gあたり、120mgです。他にも、ビタミンB1は枝豆に多く、ビタミンB2はモロヘイヤに多く含まれています。積極的に野菜を食べることで日々のビタミン不足は解消され、肌荒れや疲れやすさが解消されます。
ビタミン剤を使用するときは要注意
野菜からビタミンは摂取することができますが、一人暮らしをしているとどうしても野菜を口にすることが少なくなってくると思います。仕事や学校が忙しくて自炊ができなかったり、野菜を購入しても腐らせてしまってもったいないなど、様々な理由から野菜を摂るきっかけが減っていくものです。そんなときは、ビタミン剤を服用してもいいでしょう。ただしビタミン剤を使用するときは、気をつけなければいけない点もあります。それはビタミン剤の組み合わせによって効果が違うということです。たとえばビタミンB1を主成分にしているもの、ビタミンECを主成分にしているものなど、ビタミン剤には数多くの種類があります。合わせて飲むことで相乗効果があるものもありますが、合わせて飲むことで効果が半減してしまうことも考えられます。ビタミン剤の使用するときはまず添付されている説明書に目を通し、合わせて摂取するべきビタミン剤を判断するようにしましょう。
一人暮らしでビタミンを手軽に摂るコツ
一人暮らしでビタミンを手軽に摂るには少しのコツが必要です。・野菜ジュースなどで頻繁に摂取する ・無理せずビタミン剤の使用も検討する ・市販の青汁粉末などを使うのもOK 先ほど紹介したようにビタミン剤を使用したり、抵抗があるのであれば市販の野菜ジュースや青汁粉末などを生活に取り入れましょう。朝食を抜いているのであれば、朝一杯飲んでから仕事や学校に行くのもいいでしょう。もし時間と経済的に余裕があるのであれば、ミキサーで野菜ジュースを作成するのもおすすめです。最近は野菜ジュースの専門店なども増えているので、足を運んでみるのもいいでしょう。
ビタミン豊富な野菜と簡単な料理方法まとめ
ビタミンの摂取方法は野菜を食べることが一番ですが、野菜ジュースなど以外にも積極的に食事で摂ることが重要です。日頃から食事で摂取できればサプリメントなどを購入する必要もありませんし、健康も保たれます。忙しくて自炊をする余裕がなく外食が多いという人は揚げ物などを減らし、野菜が多いメニューを一品注文するように心がけましょう。ビタミンが豊富に含まれている野菜を使用した、簡単な料理方法を知っておくのもいざというときに役に立ちます。
まずはビタミンCが豊富に含まれているキャベツです。キャベツはサラダにして食べてもいいですし、豚肉と合わせて炒めものにするのもいいでしょう。たとえば、キャベツとひき肉の甘辛炒めはいかがでしょうか。
キャベツとひき肉の甘辛炒めの作り方
<材料>
キャベツ1/4個・ひき肉200g 調味料・醤油大さじ2・砂糖小さじ1・みりん大さじ1・料理酒大さじ1・片栗粉小さじ2・顆粒だし小さじ1
まずはフライパンに油を引き、ひき肉を炒めます。ひき肉に火が通ったら食べやすいサイズにカットしたキャベツを加え、蓋をして軽く蒸します。キャベツがしんなりしたら調味料を全て加えて完成です。
次は、ビタミンB6が豊富なトマトに関する簡単レシピです。トマトはカットしてそのまま食べることもできるので、一人暮らしをしている人にとってはお手軽な野菜の一つでしょう。しかしそのまま食べるのに飽きたときは、少し手を加えるのがおすすめです。たとえば、トマトのマリネなどはいかがでしょうか。
トマトのマリネの作り方
<材料>
トマト1個・玉ねぎ1/4個・酢大さじ1.5・オリーブオイル大さじ1.5・砂糖小さじ1・塩胡椒少々
まず玉ねぎをみじん切りにし、水にさらして辛みを和らげます。トマトは食べやすいサイズにカットし、調味料と合わせましょう。最後に玉ねぎも和えたら完成です。簡単な上にドレッシングや味付けを変えることもできるので、一人暮らしにはおすすめの一品でしょう。
次はビタミンCが豊富なピーマンの簡単レシピです。ピーマンはトマトよりも栄養素が多く、ビタミンEなども含まれています。ピーマンは独特の味がするから苦手だという人もいると思いますが、火を通すと多少苦味がなくなるため食べるときはできるだけ加熱しましょう。簡単にピーマンを食べるにはツナと和えたものがおすすめです。
ツナとピーマンの和え物の作り方
<材料>
シーチキン1缶・ピーマン3個・めんつゆ小さじ2
まず、ピーマンは種を取って千切りにしておきます。フライパンを火にかける前にシーチキンを入れておき、油を引かずに火にかけます。ある程度火が通ったらピーマンを加え柔らかくなったらめんつゆで味をつけて完成です。
次は、ビタミンEが豊富なかぼちゃ料理の紹介です。かぼちゃは他にもビタミンCやビタミンB1、ビタミンB2なども多く含まれており、積極的に食べるべき野菜の一つです。おすすめは和食の代表でもある「かぼちゃのそぼろ煮」でしょう。
かぼちゃのそぼろ煮の作り方
<材料>
かぼちゃ1/4個・ひき肉100g・水200cc・醤油大さじ1・みりん大さじ1・料理酒大さじ2・砂糖大さじ1・顆粒だし小さじ1
まずかぼちゃの種を取り、食べやすいサイズにカットします。このとき、あまり小さくカットしすぎると煮崩れしてしまうので要注意です。調味料は全て合わせておき、フライパンや鍋に油を引いて挽肉を炒めます。火が通ったら調味料を加え、沸騰したら少し火を弱めます。アクを取り除き、アルミ箔などで落とし蓋をしたらかぼちゃが柔らかくなるまで煮込みましょう。火が通ったら完成ですが、水溶き片栗粉などでとろみをつけるのもおすすめです。
次は、ビタミンCがキャベツの4倍含まれていると言われているブロッコリーです。ブロッコリーは野菜の中でも栄養素が豊富な上、バランスがいいと言われており、適度に食べる習慣を作るのがおすすめです。ブロッコリーを食べるときは茹でてしまうとお湯に栄養素が流れ出てしまうため、なるべく電子レンジで加熱するようにしましょう。たとえば、ブロッコリーのマヨネーズサラダなどは手軽で簡単に作れます。
ブロッコリーのマヨネーズサラダの作り方
<材料>
ブロッコリー1個・鰹節適量・マヨネーズ大さじ2・醤油小さじ1
まずブロッコリーは食べやすいサイズにして耐熱容器に入れ、ラップをして電子レンジで温めます。柔らかくなったら調味料と混ぜ、全体に絡んだら完成です。ブロッコリーはサラダに乗せたり、パスタやグラタン、シチューなどにも合わせられるので積極的に購入しましょう。
まとめ
そもそもビタミンは脂溶性ビタミン4種類と水溶性ビタミン9種類の13種類で構成されており、それぞれに役割があります。しかし人間の体内で生成することはできず、食事で摂取するしか補給の手段はありません。そのうえビタミンは健康を保つだけでなく、エネルギーの吸収を助ける役割も担っています。そのため肌荒れをしたり疲れやすいと感じたときは、積極的に野菜を食べるようにするのがベストです。野菜を使って自炊できるのが一番ですが、難しいのであれば野菜ジュースやサプリメントを使用するのもいいでしょう。街の野菜ジュース専門店も上手く活用するのがおすすめです。ただし脂溶性ビタミンは過剰に摂取すると体に悪影響を与えることがあるので、摂取には気をつける必要があります。