ストレスが原因で下痢になることは多い
下痢が起こる原因にはさまざまなものがあります。その一つが、ストレスです。下痢を起こしても、一時的なものですぐに収まる場合には、それほど心配する必要はないでしょう。しかし、慢性的に続く場合や、下痢と便秘を交互に繰り返す時、また急にお腹が痛くなって我慢できないほど急を要する状態になる場合には、過敏性腸症候群という病気が疑われます。過敏性腸症候群とは、ストレスが原因で起こる腸疾患で、急にトイレに行きたくなり、我慢することが難しいという症状が起こります。通勤途中や通学途中、外出中など、すぐ近くにトイレがない場所でも容赦なく起きてしまうため、対応することが非常に困難です。
ストレス性の下痢が起こるメカニズム
ストレス性の下痢は、どのようなメカニズムで起こるのでしょうか?私たちがストレスを感じると、自律神経が乱れ、全身のあらゆる器官にトラブルが起こりやすくなります。必ずしもストレスを感じると誰もが下痢をするというわけではありませんが、自律神経が乱れることによって消化器官の働きが悪くなり、下痢になってしまう人は少なくありません。
また、ストレスを感じることによって、体内のホルモンバランスも崩れやすくなります。その中でも影響を受けやすいセロトニンホルモンがバランスを崩すと、不眠や鬱などの症状を引き起こしてしまいます。
ストレス性の下痢は3種類
ストレス性の下痢は、主に3つのタイプに分類できます。
蠕動運動性下痢
1つ目は、蠕動運動性下痢というものです。これは、大腸が中の便を肛門に向かって押し出す蠕動運動が活発になり過ぎることによって、引き起こされます。腸内の食べ物に含まれている水分が十分に吸収されないまま便として排出されるため、水分を多く含んだ水様性の下痢となってしまうのです。
浸透圧性下痢
2つ目は、浸透圧性下痢というものです。これは、大腸内の腸壁が、食べ物に含まれている水分を十分に吸収できないために起こります。自律神経の乱れによって腸の働きが低下すると、腸壁が十分に機能できず、水分が多く腸内に残された状態で排便しなければいけません。それが、下痢となってしまうのです。
分泌性下痢
3つ目は、分泌性下痢というタイプのものです。大腸壁には、食べ物に含まれている水分を吸収する働きがある一方で、腸内に水分を分泌し、腸内の乾燥を防ぐ働きも持っています。腸壁が水分を吸収する働きが弱くなると、腸内には水分が多く残って下痢を起こしてしまいます。しかし、腸内へ水分を分泌する作用が強くなりすぎてもまた、腸内の水分量が多くなりすぎ、下痢を起こしやすくなります。
ストレス性の下痢を改善する方法はあるのか?
ストレス性の下痢を改善する方法は、たくさんあります。まず、誰でも今すぐに始められる方法は、日光を浴びるという方法です。人間の体は、日光を浴びることによってホルモンバランスを整えることができます。一日中デスクワークやパソコンワークなどでオフィスから出ない人は、休憩時間などを利用して、ぜひ日光浴をしてみましょう。日光浴をする事によって、自律神経やホルモンのバランスが改善されますし、太陽光を浴びることは、ストレス解消効果も期待できます。日光を浴びるだけでストレス性の下痢を完全に解消できることもあれば、解決の糸口になることもあります。
お腹を冷やさずに温める
体が冷えると、全身の機能が低下するために下痢を起こしやすくなります。ストレス性の下痢でも同じで、体がポカポカ温かい時の方が、冷えている時よりも下痢を起こしづらいのです。
ストレス性の下痢が起きている場合には、お腹や下半身をできるだけ冷やさないようにすることをおすすめします。薄着はNGです。できるだけお腹周りを意識して温め、必要なら腰やお腹にカイロを当てるなどして、冷やさないように注意しましょう。
女性のファッションでは、ミニスカートに素足というスタイルは、下痢にとってはマイナス効果となってしまいます。ミニスカートを履くなら、レギンスやスパッツ、タイツなどと合わせたり、冬なら毛糸のパンツや腹巻などをして、冷やさないための工夫をしましょう。
また毎日のお風呂は、シャワーではなくゆっくりと温かい湯船に浸かることも、お腹を冷やさない対策法として有効です。湯船に20分から30分程度浸かると、全身の筋肉をほぐすことができ、血行が良くなります。血行が良くなると体はポカポカしますし、基礎代謝も上がります。それによって、自律神経やホルモンのバランスが正常な状態へと近づくため、ストレス性の下痢に対しても有効です。
下痢が気になる時の食事はどうすればよい?
ストレス性の下痢を根本的に解決するためには、原因となっているストレスと向き合うことが必要不可欠です。ストレスを感じない生活ができれば理想的でしょう。しかし社会生活を営んでいると、どこにどんなストレスが潜んでいるか分かりませんし、完全にストレスを避けて生活することは難しいものです。そのため、ストレスへの対処法としては、できるだけストレスを体内に溜めこまないように意識して、ストレス解消することが効果的です。
ストレス解消の方法を試行錯誤しながら模索することと同時に、毎日の食生活を少し工夫することもまた、下痢の対処法として有効です。下痢を起こしやすい時には、腸の機能が正常に働いていないということです。そのため、食事はできるだけ腸に負担をかけないものを食べるのがおすすめです。
まず、下痢がひどい場合には、すこし絶食をして様子を見ながら、流動食やスープなど、消化しやすいものを食べると良いでしょう。白米も硬いと消化に時間がかかるので、おかゆにするのがおすすめです。またおかゆを食べる際にも、柔らかいからと言ってそのまま流し込むように噛まずに食べてしまうと、消化に良くありません。おかゆでもしっかり噛みながら、唾液を分泌させることが、消化を良くするための対処法です。
また、肉などの動物性たんぱく質は、消化に時間がかかってしまいます。動物性たんぱく質をとるなら、固形の肉よりも卵を選びましょう。卵は、ゆで卵にするのが食べやすいですが、ハードボイルドだと、消化に時間がかかります。最も消化が早いのは半熟ぐらいの茹で加減で、ストレス性の下痢にはおすすめです。もしも固形の肉や魚を食べるなら、肉はできるだけ脂質が少なめの鶏ささみ、魚なら脂肪が少なくて消化が早い白身魚を選ぶと良いでしょう。
食事の内容は、できるだけ冷たいものは控えて、温かいものを食べるのがおすすめです。野菜を食べる際には、サラダよりも温野菜にするなど、内臓を少しでも温められるような食材と調理方法を工夫してみてください。例えば、みそ汁やスープなどは、下痢対策としては優秀です。中に入れる具材を工夫して栄養価が高い野菜を入れれば、少量でも消化吸収が早く、しっかりと体が必要な栄養を摂取できます。
下痢をしている時は水分を控えたほうが良い?
ストレス性の下痢で悩んでいると、水分を控えたほうが良いのではないかと考えがちです。しかし、下痢をしていても水分補給はとても大切であり、必要なことなので、水分補給をしないという方法はNGです。
下痢をすると、体内の水分が便として排出されてしまうほか、体内の塩分も同時に排出されてしまいます。この状態で水分補給をしないと、血液内の塩分濃度がどんどん高くなってしまいます。逆に、血液中の塩分が薄くなっている状態で大量に水分補給をすると、塩分がさらに薄まり、体は塩分濃度を一定レベルに維持しようと、水分を排出しようと働きます。その結果、下痢がひどくなったり、頻尿などのトラブルが起こってしまいます。
よって、下痢をしている時に水分補給をする事は必要です。しかし、やみくもに水だけを飲むのでは、体内の水分調整ができません。下痢をしている時の水分補給には経口補水液を使い、水分に加えて電解質のものを補給してあげることをおすすめします。具体的には、砂糖や食塩を水に混ぜて飲むという方法が良いでしょう。混ぜる量は、それほど多くなくてOKです。水1リットルに対し、食塩なら小さじ半分程度、砂糖なら大さじ半分程度をるのが目安です。
腸内環境を改善するのが効果的
ストレス性の下痢の改善法としては、腸内環境を改善することもまた、大きな効果が期待できます。腸内環境を改善するためには、善玉菌を増やしてあげる方法があります。例えば、乳酸菌を多く含むヨーグルトを食べるとか青汁を飲むのは効果的ですし、整腸作用のある発酵食品もおすすめです。
整体もおすすめです
整体院で施術を受けることもまた、ストレス性の下痢の改善法としては効果が期待できます。整体院での施術では、骨格のずれやゆがみを矯正します。そうすることで、全身の血行が良くなるほか、筋肉がほぐれ、高いリラックス効果燃えることができます。全身の血行が良くなれば、体内の老廃物や毒素を効率的に対外へ排出し、ストレスによって作り出される活性酸素もスッキリと体内から除去できます。
ただし、整体では、一度の施術だけでゆがんだりズレた骨格を完全に正常な状態へと改善できるというわけではありません。最初の数か月間ぐらいは、定期的に通院することで、より安定した高い効果を得ることができます。
規則正しい生活を心がけましょう
ストレス性の下痢を改善するためには、できるだけ規則正しい生活を心がけることも大切です。規則正しい生活をする事で、体内時計が安定し、自律神経やホルモンが乱れにくくなります。具体的には、睡眠時間をしっかり確保する事、毎日少しでも良いので適度に体を動かすことを意識してみてはいかがでしょうか。
睡眠時間は、もしも可能なら夜10時ぐらいまでには就寝し、毎日7時間ぐらいの睡眠時間を確保することをおすすめします。これまで夜更かしして仕事や趣味に取り組んでいた人なら、早く寝て、その分早起きする生活習慣をつけると良いでしょう。
体を動かすという点については、ウォーキングやジョギング、ヨガやプイラティスなどのストレッチ系の運動が効果的です。ジムに行って筋トレをしても良いですが、運動が嫌いな人なら、そこまでする必要はありません。運動が嫌いな人、忙しくてエクササイズの時間を確保できない人は、通勤や通学の時間を上手に活用してエクササイズ効果を得るという方法もアリです。例えば、駅ではエスカレーターではなく階段を使うとか、電車やバスでは座らずに立っているだけでも、大きなエクササイズ効果があります。
毎日少しでも安心して生活するための工夫
ストレス性の下痢の中には、突然強い腹痛に襲われ、トイレを我慢できないというツラい症状もあります。すぐそばにトイレがないと、安心して外出することもままならないでしょう。日常生活の中で下痢を起こしづらい体内環境づくりを行うとともに、毎日安心して生活できるための工夫をする事もまた、下痢対策ではとても大切です。
例えば、普段の通勤や通学経路では、どこにトイレがあるのかを把握しておくと良いでしょう。バスやマイカーでは、トイレに行きたくなった時にすぐ駆け込むことが難しいので、移動には車よりも電車を使うのがおすすめです。また、車内にトイレが設置されている電車なら、トイレのすぐそばにスタンバイすれば、万が一の時にも安心です。もしもトイレが電車内に設置されていなければ、快速や特急のように停車駅の間隔が長い電車よりも、時間がかかっても各駅停車や普通列車を選んだほうが、万が一の時にはサッと下りてトイレへ駆け込めます。
万が一に備えて、着替えを準備することも、大きな安心感につながります。いつどこで、そしてどんなタイミングで下痢に襲われるか分かりません。そのため、漏らしてしまった時には、速やかに着替えられるよう、下着やパンツ、靴下、そして汚れてしまった汚物を入れるプラスチック袋、肌についた汚れをふき取るためのウェットティッシュなどを携帯していれば、いざという時には大活躍してくれます。
薬を飲んでもOK?
ストレス性の下痢がひどい時には、整腸作用のある薬を飲むという方法もアリです。ただし、整腸作用のある薬は、腸内環境を整える作用はあっても、根本的な原因であるストレスをなくす作用はありません。そのため、薬だけに頼らず、根本的な原因を除去する努力をしましょう。